JOURNAL

STUDIO VISIT WITH ROBBIE SIMON
JOURNAL #12
DATE : May 29, 2019
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JOURNAL #12 May 29, 2019

STUDIO VISIT WITH ROBBIE SIMON

- ロビーサイモンのアトリエ訪問 -
アメリカ・ロサンゼルスを拠点に活躍する新進気鋭のアーティスト"ROBBIE SIMON(ロビー・サイモン)"。Geoff McFetridge(ジェフ・マクフェトリッジ)の「CHAMPION GRAPHICS」でのキャリアを経て、グラフィックデザイナーとして創作活動を続ける彼にインタビューを行った。

text:Pilgrim Surf+Supply
photo:Provided by Robbie Simon
translation:Momoko IKeda
  • アートやグラフィックデザインに興味を持つようになったきっかけはなんですか?
    僕はカリフォルニアのハンティントンビーチで育って、いつもアーティスティックでクリエイティブなことに惹かれていた。厳格な家庭で育ったから、そういうこととは無縁で、趣味で終わると思いながら写真を撮ったりコラージュしたりしていたんだ。 でも、サンフランシスコの大学に進んで専攻を選ぶ時になって「待てよ、俺はこういうアートをすべきなんじゃないか?やりたいことをやるのは悪いことじゃないんだ!」って気づいて、まるで突然神が現れたみたいな悟りだったよ。そしてデザインプログラムの学部に進んでビジュアルコミュニケーションを専攻しだんだ。ただ、スタートとしては良かったと思うけど、実社会で使えるスキルは特に身につけずに卒業したけどね。
大学卒業後は?
卒業後は色々なデザインの仕事に長時間費やした。あてもなくグラフィックデザインの世界でどこに着地できるのか探りつつ、自分のスキルを磨いていたんだと思う。あとは、サンフランシスコでは、すごくいい音楽のシーンに囲まれながら自分が所属しているバンドやミュージシャンとも仕事をしていた。ポスターやフライヤーやアルバムカバーをデザインすることで、僕もすごくいい経験を積めたと思っているよ。
キャリアの初期段階でGeoff McFetridge(ジェフ・マクフェトリッジ)のところで働いていたと思いますが、どんな影響を受けましたか?
Geoffのスタジオアシスタントとして働いたことは、僕にとって大きなターニングポイントになった。その頃はLAですでにいくつかの仕事をしていて、そのすべての経験から自分の美意識やスタイルを磨けたと思うけど、その力をどう使えばいいのか、どこに向かわせればいいのかわからなかった。 Geoffの元で働くことになって、彼が取り組むプロジェクトの多様性、ハイエンドとローエンドの両方からのアプローチ、そして様々なプロジェクトにそれぞれ間違いないビジュアルを彼がどう当てはめていっているかといったことをみるのは、僕にとって本当に画期的なことだったし、学びになった。そしてデザインのジャンルで僕が思い描いていたキャリアを築いている人との人生初めての出会いでもあった。まさにコレだ!って感じだったよ。

幸運にもそこで1ヶ月以上働くことができて、仕事でのキャリアをよりクリアに想像できるようになった。彼はコマーシャルの仕事をするグラフィックデザイナーとしてのキャリアを持ちつつ、絵も描いていいということに気づかせてくれたね。モチベーションも上がって、夜だろうが週末だろうがよく働き邁進してポートフォリオを作り、コンスタントに来るフリーランスの仕事も手に入れ、最終的に完全なフリーになったんだ。
コマーシャルの仕事と自身の製作活動とはどうバランスをとっているんですか?
どんな仕事がくるかにもよるし、財政的な判断とかコマーシャルな仕事を優先しないといけないときもあるけど、アートギャラリーや絵のプロジェクトの声がかかる時はいつもとても嬉しいよ。

アート作品に関しては、全くなにもないところから制作を始めることはなくて、まず今まで貯めてきたアイデアを見て、どれがそのプロジェクトに当てはまるかを考える。そうすればショーに向けてペインティングを発展させることができる。同時にもう少し絵のための時間があればなと思ったりもする。そうすればテクニックを磨いたり、他のやり方を試すなど実験的なことができるからね。でも実際ずいぶんと努力が必要だし、残念ながらそうすると他のプロジェクトに必要な時間まで奪われてしまう。だから今のところはできるだけ仕事として成立させて、同時にアートの高貴さもできるだけ誠意を持って維持するよう努めているよ。
スケートやサーフィンなど、サブカルチャーのグラフィックの要素があなたのアートやクリエイティビティへの発見につながったりしていますか?
もちろんだよ。ハンティントンビーチというのは、スケートとサーフィンの両方がすべてと絡み合うファニーで奇妙な場所なんだ。他の場所では見られないサブ・カルチャーのクレイジーな交わりがある。サーフィンとスケートボードがあそこのメインスポーツだから、必ずしもカウンターカルチャーってわけでもない。美意識的には確かにそこからの衝撃は受けた。いつもサーフ雑誌を全部買っては、それを切り貼りしてコラージュを作って壁に貼ってた。ある時マイクロソフトのワードの使い方を習得して、サーフロゴを特定のパターンにアレンジしたこともある。ただ退屈で、子供ながらに暇つぶししていただけなんだけど、強い衝動でもあったんだよね。好きなステッカーを集めたりさ。そういったことがどうその後に関係しあってるのかわからないけど、完全にそういったことに親しみを感じるし、とてもノスタルジックな気持ちになるね。
ノスタルジックでありながら同時にフレッシュでもあります。どんなアーティストから影響を受けたんですか?
確かに過去から影響を受けてることは否定できないけど、過ぎ去った過去やノスタルジアに焦点を当てたいとは思わないんだ。そんなの悲しいし陳腐だよ。僕が思うベストな作品の作り方というのは、過去に思いを馳せることで、なんであれ自分が作れるいい仕事の道を追うことなんだと思う。

あと、僕が作ってるスーパーフラットでソフトアブストラクトの作品群は、最近のペインティングのトレンドでよく見られるとも思う。ただ僕は自分のやってることに集中して、そういうトレンドからは目を逸らすようにしている。あと、現代アーティストで僕がインスパイアされるアーティストと言えば、自分と違うことを支持することの方が簡単なんだ。例えば僕の友人でもあるDanny FoxとかTim Presleyとかね。あとは、Mattea Perrotta。彼女と僕は絶対的に似た作品を作っている。少なくとも似たプロセスをとっているんだけど、出来栄えは大きく違う。彼女は僕のアート界・クリエイティブな世界の親友で、一緒に何かをやったり話したり、戦略を練ったり、共感しあったりもするから、彼女からは確実に影響を受けているよ。
  • 「Allah-Las」のためにずいぶん長い間作品を作っていますね。
    彼らとはサンフランシスコ時代からの付き合いだ。最初から僕らは似たようなテイストを持ってたし、彼らは常にクリエイティブの自由を与えてくれるんだ。彼らが売れだした時には、僕の表現のプラットフォームも大きくなって、常に彼らの作品がクールに見えるように、またアルバムカバーやポスターが、人の興味を引き手にとるような作品になるようにしていたよ。いつも完璧に共生的?で、ちょうど僕が自分のスタイルやキャリアを模索していたタイミングでもあった。彼らとの仕事から僕の進化が見て取れると思うよ。

    こうやって一緒に築き上げてきたことは信じがたいくらい素晴らしいよ。それに、僕らは今でもお互い好き同士っていうのもいいよね(笑)。『Reverberation Radio』にすべて集結してると思うね。
『Reverberation Radio』について少しお話いただけますか?
『Reverberation Radio』は、元々カレッジラジオとしてスタートして、今はポッドキャストになっている。9人のコアメンバーがいて、その友達も参加していて、レコードコレクターやミックスメイカーたちの集まりによるものなんだ。いつもそれぞれがやりたいことをやれるプラットフォームで、誰がよりいいミックスを作ったか競いあってる感じなんだ(笑)そんな感じで続けてずいぶん長い間続いてる。こうやって一貫性を持っていられることもレアなことだと思うし、一週間だってやらない日はなかったってことが成功の鍵だと思うね。
今期<Pilgrim Surf+Supply>のシーズンアーティストとして、Tシャツと帽子をデザインしましたね。インスピレーションはスピリチュアル・ジャズとのことですが、なにか特定のその時代のアルバムやアーティストなど参考にしたものはありますか?
特にこれってのはないけれど、カルチャーやテーマは取り組んでて楽しかったな。それらはアブストラクトアートと自然と惹かれ合うものだからね。スピリチュアル・ジャズは、型にはまらずして、美しく詩的な音楽形式だ。だから、見る者に解釈させる機会を与える。ミュージシャンでさえ、特定のものを喚起させようとはしないから、リスナーは自分なりの文脈で解釈して、感じたいように感じればいい。アブストラクトアートもまさにそれと一緒なんだ。人を引き込む空間を作るというだけなんだ。そこに色であれ、動きであれ、形であれ面白い要素を入れ込むことができれば、人は引き込まれざるを得ない。曖昧で、美しく、瞑想的なことだよ。このプロジェクトとは相性が良かったし、あまり形式ばってない動きのあるものを作るようにしたんだ。
日本に来たことはありますか?
たしか19歳か20歳の頃だ。英語の先生をしているいとこがいてね。じゃあ行ってみようって感じだったんだけど、すごくクールだったよ。あれは家族行事で自然と戯れるような旅だった。お酒も飲まなかったし、観光的なことを全部やって。それでも信じられないくらい楽しかった。たくさんレコードも買って、トランクに入りきなくて、持ってきた服を捨てたくらいだ。

今回は前回と似たようなこともするだろうけど、とても違う旅になりそうでとてもワクワクしているよ。「Greenroom Festival'19」で「Allah-Las」のライブもあるし、僕は東京の「Pilgrim Surf+Supply」で展示をする。僕らのクルーが集まるんだ。その後、僕はガールフレンドと1週間ほど日本を旅する予定で、すごく楽しみにしているよ。
それ以外に、これからのプロジェクトやエキジビションの予定はありますか?
この夏はうまくいけば色々なことが発表できると思うけど、来年は大きなペインティングの展示がLAでできたらいいなと思ってる。すでにいい感じに十分楽しくやってこれてるけど、よりいい調子で次に進めたらいいなと思ってるよ。

Information
"HOOPS" An Exhibition Of Drawings by ROBBIE SIMON

6月2日(日)まで、"ROBBIE SIMON"のアート作品の展示・販売イベントを「Pilgrim Surf+Supply」にて開催中です。みなさまお誘い合わせの上ご来場ください。

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