JOURNAL

PILGRIM SCHOOL;HAND POURING WAX WITH EAST SURF CO.
JOURNAL #04
DATE : Jun 29, 2017
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JOURNAL #04 Jun 29, 2017

PILGRIM SCHOOL;HAND POURING WAX WITH EAST SURF CO.

- PILGRIM SCHOOL;EAST SURF CO.が手作りするサーフワックス -
  • サーフワックス ---- それはとてもシンプルだけれど、サーフィンを楽しむために必要不可欠なもの。ワックス業界はここ過去40年、少数の大手企業によって独占されていた。だから、ほとんどのサーファーの好みは決まっていて、ワックスを選ぶ時に悩むことはない。 でも、「East Surf Co」のマットはその例外で、よく考えて選ぶ。海に囲まれたナラガンセットの近くで育った彼にとって、サーフワックスは日常に欠かせないものだった。彼と彼の妻は大手企業以外がワックスを製造していないことに気付き、オリジナルのワックス作りを試みることを決めた。そして何年もの試行錯誤の結果、オーガニックな材料を使用した手作りの三日月型の<East Surf Wax(イースト サーフ ワックス)>が生まれることとなった。

    僕たちは、手作りのサーフワックスの作り方を学び、私たちが予想し得ないようなワックスの重要性について知るため、ニューヨーク・ブルックリンのレッドフックにあるマットの研究室を訪れてみた。
ワックスを作り始めてどれくらいの時間がかかったのですか?
まずはロードアイランド州のプロビデンス市にある僕のキッチンでプロトタイプを作り始めたんだ。完成させるのには4年もかかったよ。その後はロードアイランドにある僕の両親の倉庫で製造していた。 ニューヨークに引っ越してきたのは1年半ほど前で、ここレッドフックにスタジオを借りるようになったんだ。

最初に作った ワックスはただの油の塊だった。オーガニックな材料を使っていたから、出来上がったそれは単につるつるしたココナッツオイルのようなものだった。全然上手くいかなかったね。時間はかかったけど、粘着付与樹脂を加えることで粘着摩擦力を高めることができるようになった。ちょうどいいバランスを見つけるために、ただただ試行と失敗を繰り返し、海に出ては実際に何度もセッションを重ねて 試したよ。最終的にボードからワックスが滑り落ちなくなるまでには、まるまる3年間かかったね。
サーフワックスの作り方はどのような工程なのですか?
まずは、これは白い蜜ロウで、仕入れの時には大きめの板上の形になってるんだ。それをハンマーで叩いて溶けやすい大きさにする。
粘着付与樹脂と白い蜜ロウとココナッツオイルを加えて混ぜたものだよ。粘着付与樹脂はかなり溶けやすいから、まずこれから始めるんだ。そこに少しずつ白い蜜ロウを加えていく。こうするとすべてがうまく溶けていく。そして最後にココナッツオイルを加える。これが自分で見つけた一番上手くいく方法なんだ。どうやってできるかがより分ってきたから生産プロセスを無駄無く効率化することもできた。溶かすプロセスは大体30分から45分かかるんだよ。

僕は個人的に柔らかめのワックスが好きなんだ。パラフィン(ロウ)は使わない。パラフィンは固める要素として従来のワックスによく使われている主要の材料で、従来のワックスの80%から90%はパラフィンが占めているから、僕たちはそれに代わるもの探し出さないといけなかった。結果、蜜ロウをベースとする製品が生まれたんだ。それが他との大きな違いだね。パラフィンは簡単には崩れないから長持ちするけど、蜜ロウで作ったワックスは、水の中で時間とともに自然に分解してしまう。静止摩擦を与えるだけではなくて水の中でも1セッションまるまる使えるような材料のコンビネーションを考えるのには本当に時間がかかった。みんながみんなそれが好きなわけではないけど、柔らかいワックスはボードの上でも柔軟なのがいい。僕たちのワックスはパラフィンが含まれていないから自然と柔らかくなって、どちらかというとネバネバしている。ワックスの中に足を沈められる感じかな。別に自分たちがものすごい環境保護主義者だというわけではないけど、こういった単純なことで何らかの形で地球にやさしくなりたいと思ってるよ。
『Cold Wax』は柔らかくて、『Warm and tropical wax』はより固め。僕たちの『Warm and tropical wax』は植物性油を一切使ってないけれど、『Cold Wax』の方は植物性の油が入っている。植物性の油はワックスを柔らかくする素材だから、寒い時でも柔らさを保ってうまくボードに塗ることができる。寒い天候に適していて冷たい水の中でも効力があるから、ちゃんと役割を果たしてくれるんだ。温度に合わせて異なる材料を調合してるよ。

型はシリコンで、二つに分かれている型を使ってる。僕の友人の工業デザイナーがデザインしてくれたんだ。三日月型の形にロゴを埋め込むため、型を二つにしなければいけなかった。型の性質上、たまにくぼみができてしまうこともある。まず少し注いでしばらく置いて固めて、そこにもう一度注ぐ。最後、上半分を剥がせばワックスが飛び出てきて商品が完成する。シリコンはプラスチック製の型に比べてかなり優れていて、バターのようにスムーズな出来になるんだ。持ち手が無くてロゴがついていない従来のワックスは、僕らが使っている2つに分かれいるものとは違って、1型のもので作られているよ。
製品についてのこだわりはどういった事でしょうか?
ほうっておくと自然と油脂が表面に浮かび上がってくるから、 常に混ぜながら成分が均等になるように注がないといけない。さらに、この時にはコントロールされた環境にワックスを置くのではなくて、理想としては少し熱を加えた方がいい。早く冷め過ぎると、ワックスにひびが入ってしまうこともある。温度に左右されやすかったりもして、無数の異なる要素が製品の完成度に影響するんだ。だから生産過程では無駄もたくさん出る。でも僕らはその無駄になったワックスも再利用するようにしている。何も捨てないよ。

それと、すべて手で包装しているんだ。ここに座って音楽を流しながら、ただただ詰めていく。パッケージは僕の妻のジョアナがデザインしてる。ここでやっているすべてのことは彼女とのコラボレーションだよ。彼女はデザインコンセプトを導くことが本当にうまいんだ。 本当にうまくまとめあげてくれる。パッケージデザインだけでなくウェブデザインもすべて彼女が手がけているよ。
最後に、今後のビジョンはありますか?
ワックスはすごくシンプルな商品だから、サーフィンの中でそんなに重要視されていない。でも、サーフィンするにはボードとワックスは不可欠。もう少しワックスにも気を使うべきだと思うね。僕はこんな風に商品にフォーカスすることが好きだし、この手で作りあげたワックスを人々が使ってサーフィンをしているなんて本当に素晴らしいことだと思う。ワクワクするよ。ボードのシェイパーたちも同じ気持ちだと思う。ボードを形作り、それでサーファーが波にのって楽しむことができる。素晴らしさって本当にそういうことだと思うね。ワックスを作ることは僕たちにとっては永遠に続く学びだと思っているけど、作ったものを人々が使ってサーフィンを楽しんでいるということにこそ意義があると思う。それが僕たちが目指していることさ。
<East Surf Wax> は「ピルグリム サーフ+サプライ」で購入可能です。詳しくはショップまでお問い合わせください。
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