JOURNAL

NOSTALGIC DAYS IN CALIFORNIA
JOURNAL #05
DATE : Jul 24, 2017
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JOURNAL #05 Jul 24, 2017

NOSTALGIC DAYS IN CALIFORNIA

- 竹井達男が愛するサーフ、フォト、そしてカリフォルニア -
  • デジタル全盛のこの時代において、今もなお1960年代製のフィルムカメラで撮影をする。時代に迎合することなく、自分のスタイルを一貫するフォトグラファー、それが竹井達男。1年のおよそ半分をカリフォルニアで過ごし、バン(車)で寝食をし、ひたすらサーファーを撮影する日々。写真を、サーフィンを、そしてカリフォルニアを愛する男。そんな彼の作品は、まさにノスタルジックという言葉がぴったりと当てはまる。
    サーフィンとの出会いを教えてください。
    高校2年の時に観た映画『ビッグ・ウェンズデー』に衝撃を受けたのが、きっかけですね。それまでサーフィンのサの字も知らなかったんですが、この映画を観て一気にサーフィン熱が高まりました。すぐにサーフィンを始めたのですが、やはり『ビッグ・ウェンズデー』で観たあの雰囲気に憧れを抱き、大学を卒業後、カリフォルニアへ語学留学をしたんです。もちろん留学は単なる口実で、本当の目的はカリフォルニアでサーフィンをしてみたかったから(笑)。そんなカリフォルニアは、僕のイメージ通りに青い空と海、そしてカラッとした気候と温かい人々が最高でした。
フォトグラファーになろうと思ったのはいつ頃ですか?
この留学時代ですね。幼い頃から写真を撮ることは好きだったのですが、本格的に学ぼうと思ったのは語学学校の後に入学したパロマーカレッジで。なぜこのカレッジを選んだかというと、写真のコースがあったからなんです。僕は、リロイ・グラニスとロン・ストーナーという2人のサーフ・フォトグラファーから多大なる影響を受けました。2人とも1960年代に活躍したサーフ・フォトグラファーなんですが、そのうちの1人であるリロイ・グラニスがたまたま僕と同じ町に住んでいたんです。当時、70代後半くらいの高齢だったんですが、彼はサーフィンをやっていて、僕と同じポイントによく入っていました。で、わざと自分の車を彼の車の横に駐車したりして、話すきっかけを探っていました(笑)。最初は挨拶程度だったんですが、4回目くらいかな、ちゃんと話す機会が訪れ、その時に思い切って「あなたの写真を見せてほしい」ってお願いしたんです。そしたら「今日の夕方なら空いてる」と言われ、その日のうちに彼の家へお邪魔することができました(笑)。それからは、写真の師匠として、さらに祖父と孫のような関係で仲良くさせてもらいました。彼からは色々なことを学んだのですが、一番はやはり"続けることの重要さ"を教えてもらいましたね。彼との出会いがなければ、今の自分は間違いなくなかったと思います。
その後、プロのフォトグラファーになられたんですね。
はい。学生時代もサーフィンの撮影をしていましたが、プロとして本格的に撮影をし始めたのはカレッジを卒業してからです。アメリカでは写真などの専門分野を学んだ学生に、卒業してから1年間のオプショナルでプラティカルトレーニングというビザが与えられるんです。なので、そのままカリフォルニアに滞在し、サーフィンの写真をひたすら撮影していました。もちろん写真だけでは食べて行けないので、バイトも色々やりましたよ。お決まりともいえる日本料理屋の板前はもちろんのこと、新聞社に依頼された写真を撮ってきたりなどなど。実際のところ、サーフィンの写真は5年間くらい1枚も売れませんでした(笑)。
その後、始めたのが「バンライフ」ですね。
はい。9.11のテロを境にビザの申請がとても厳しくなったんです。そんなこともあり、2003年に日本へ帰国しました。日本でウェットスーツを製造する会社に就職したんですが、やはりアメリカでサーフィンの撮影をしたいという思いが強くなり...。で、その会社を退社し2009年からカリフォルニアで「バンライフ」を始めました。「バンライフ」とは、その名の通り、バン(車)で異動しながら寝泊まりをする生活なんですが、1年のおよそ半分を南カリフォルニアで過ごし、サーファーたちを撮影しています。'89年式の<FORD>エコノラインを購入してアメリカにいる時は常にその車で生活をしています。お風呂についてよく聞かれるんですが、僕はフィットネスジムのシャワーを利用しています。24時間営業かつ色々なエリアに店舗があるチェーン系のフィットネスジムに入会してるので、困ることはないですね(笑)。車内で寝るので暑さなど辛いこともありますが、1日1日を生きてると実感できるので、とても有意義な時間を過ごしています。
竹井さんの作品はどこかレトロな雰囲気を感じます。昔からこのスタイルで撮影されているのですか?
そうですね。先程もお話ししましたが、僕が影響を受けた2人のフォトグラファーは1960年代に活躍された方々です。僕もそんな'60s(シックスティーズ)の雰囲気が好きなので、時代は変われど、'60sの雰囲気を感じさせる写真をずっと撮り続けています。使用しているカメラやレンズも1960年代や1970年代の物です。そんな僕の作品を集めたエキシビションを『ノスタルジックサマー』と題し、渋谷の「ピルグリム サーフ+サプライ」にて開催させていただくことになりました。このような機会をいただき、大変光栄です。
メインで使用している<NIKON>F3は'80年代前半のモデル。「報道系の写真家に絶大な人気があったF3。僕もF3にはかなり信頼をおいています。ビンテージのレンズとも相性は抜群。たまにフィルムの巻き取りが甘かったりしますが、それなりに楽しんで撮影しています。撮影や移動中に3回落としましたが、今のところ問題なく使えています」
ムービーを撮影する際は、'70年代前半に発売された<Canon>AUTO ZOOM 518 SUPER 8を使用。「アメリカのカメラ屋で発見し、メンテナンス後に使い始めました。僕が手がけたTyler Warren(タイラー・ウォーレン)の『WET DREAM』(2014)は、このカメラで撮影しました。アメリカでは今でもSuper 8mmの人気は根強く、専門誌やファンクラブが全米にあるほど。現像所もニューヨークとカリフォルニアにあり、専用の水銀電池もまだ買えます。映像オタクにとってアメリカはまさに夢の国です」
最後に、今後のプランなどがあれば教えてください。
これまでに撮り貯めた作品やこれから撮影する写真を通して、サーフィンの素晴らしさ、カリフォルニアの美しさ、そして写真の面白さを次の世代に伝えていきたいですね。またスチールだけでなくムービーも録り貯めているのでそれらも色々な人に観てもらえたらと思っています。近々写真集もリリースする予定なのですが、許されるならその写真集を売りながら、色々な国々を旅をしたいですね。......あ、あとは歳も歳なので、そろそろ身を固めないと(笑)。
Tatsuo Takei
Tatsuo Takei
竹井達男(タケイタツオ)

サーフ・フォトグラファー/大阪府出身。大学卒業後、カリフォルニアへ留学。その後、南カリフォルニアにあるPalomar Collegeに入学し写真を専攻。1999年に卒業し2003年に帰国。2009年からカリフォルニアでのバンライフを開始。おもに南カリフォルニアでサーファーたちを撮影し、日本やアメリカのメディアで作品を発表している。


WEB SITE: http://www.tatsuotakei.com/
Instagram: https://www.instagram.com/tatsuo_takei/

NOSTALGIC SUMMER
- TATSUO TAKEI PHOTO EXHIBITION -

今回のイベントでは、厳選された作品31点を展示販売。7月28日(金)に行われるレセプションパーティーでは、竹井達男さんのトークショーに加え、2014年に撮影と共同ディレクションをした映像作品『WET DREAM』のダイレクターズカットの上映会、バイオリンとアコーディオンのデュオSIESTAによるライブミュージックを予定しています。どなたでもご覧いただける機会です。お誘い合わせの上、ご来店ください。

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