JOURNAL

ROOTS OF CAL O LINE
JOURNAL #02
DATE : Dec 01, 2016
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JOURNAL #02 Dec 01, 2016

ROOTS OF CAL O LINE

- CAL O LINEのルーツとは -
グレイトフルデッドとサンフランシスコ・ジャイアンツの希少なコラボレートTシャツを纏い、デスクワークにいそしむ。大型テレビからはお気に入りのサーフビデオが流れ、キッチンからは淹れたてのコーヒーの香りが優しく漂う。自分の愛する物に囲まれながら次シーズンのウェアをクリエイトする<CAL O LINE(キャル オー ライン)>のデザイナー、金子敏治氏。昨年、渋谷の<Pilgrim Surf+Supply>において、ポップ・イン・ショップという形式で華々しくデビューした<CAL O LINE>とはいったいどんなブランドなのか?そしてどのような想いからウェアを具現化しているのか。そこにはサーフィンと密接な彼のライフスタイルを垣間見ることができる。
はじめに、サーフィンとの出会いを教えてください。
サーフィンを始めたのは18歳。ちょうど大学1年の時です。幼い頃から高校まで、ずっとサッカー一筋だったので比較的始めたのは遅いかもしれません。サッカーはかなり本気でやっていて、中学の時には関東選抜に選ばれたりもしたんですが、後にJリーガーになった他のメンバーのプレーなどを見て、実力差を実感しました。高校まではサッカーという団体スポーツをやっていたので、大学に入ってからは個人競技をやってみようと思っていた時に出会ったのがサーフィンだったんです。......ま、それは表向きで、本当はサーフィンをやったらモテるのでは、という軟派な考えだったんですけど(笑)。もちろんサーフィンの魅力に取りつかれるまでに、そう時間はかかりませんでした。
金子さんにとってサーフィンの魅力とは?
一言では説明するのは難しいですね。サーフィンと出会ったおかげで色々なことを学びました。例えば、カルチャー。サーフカルチャーだけでなく、アメリカの様々なカルチャーを知るきっかけになりました。ファッションはもちろんのこと、アメリカの車やネイティブインディアンについてだったり。もちろん色々な情報を知るきっかけになっただけでなく、サーフィンの面白さ、そして同じ波がふたつとない自然の素晴らしさも学ぶことができました。波を待っている時は基本的に無の状態なので気持ちのリセットもできますし、僕の中ではオンとオフの良い切り替えになっています。
<CAL O LINE>を始めたきっかけは?
大学時代にサーフィンと出会ったことで、アメリカのファッションに興味を持ちました。それがきっかけでファッションに興味をもち、大学卒業後にアパレルの世界へ。いくつかの会社を経て、昨年自身のブランドを立ち上げました。それが<CAL O LINE>です。呼び方は、キャロラインでもキャルオーラインでも良いのですが、僕はキャロラインと読んでます(笑)。CALはCALIFORNIA、OはOCEANやORIGINAL、そしてOUTLINEなど様々な意味が含まれ、そしてLINEは繋がりというそれぞれの単語を合わせた造語をブランド名にしました。僕の中でカリフォルニアは、特別な土地。サーフィンやヒッピームーブメント、そしてネイティブインディアンなど、様々なカルチャーが発信されたり、残っていたりと僕の好きなものを全て網羅しているんです。カリフォルニアって縦長の地形なのでエリアによっても雰囲気が全然違うし、面白いですよね。個人的に好きなのは、ハモサビーチからカーディフ辺りまでのエリア。あとは様々なカルチャーが生まれたサンフランシスコも好きです。
<CAL O LINE>はカリフォルニアのカルチャーが落とし込まれたブランドということでしょうか?
もちろん大好きな土地なんですけど、決してカリフォルニアのカルチャーだけを落とし込んだウェアというわけではありません。要素のひとつとしてアイデアを落とし込むことはありますが、あくまで自分が本当に着たいモノを具現化しています。サーファーだからといってサーフブランドを着ているというわけでもないし、普通のアパレルブランドとしてどこでも着ることのできるウェアを作っています。そういう部分においては<Pilgrim Surf+Supply>と考え方が近いかもしれませんね。
<Pilgrim Surf+Supply>について、どんな印象をお持ちですか?
個人的なイメージですが、やはり西海岸のサーフブランドとは明らかに違いますよね。クリーンなイメージがするし"いかにもサーフブランド"という印象がないのも好き。ニューヨークのショップに行ったこともあるんですが、商品構成を含めてあの空間は、とても印象的でした。
もちろん日本の「Pilgrim Surf+Supply」の店内も、とても気持ちの良い空間ですよね。<CAL O LINE>のローンチは渋谷の「Pilgrim Surf+Supply」で行ったポップ・アップ・ショップが最初だったんですけど、その機会を与えてくれて本当に感謝しています。
ウェアをデザインする上で、こだわりなどはありますか?
自分自身が着たいと思えるモノ、という考えはあるのですが、決して自分のエゴだけでモノ作りをするつもりはありません。僕はアーティストではないので。取引先、工場や営業の方々、そして何よりお客様のことを考えてウェアをデザインしています。デザインソースとしては、先程も言いましたが、写真集やサーフィンのDVD、そしてヴィンテージのウェアなどからヒントを得ることが多いです。あとはアウトドアブランドのカタログなどもチェックして、刺激をもらっています。個人的には、1960年代後半から1970年代くらいにかけてと1990年代前半のファッションが特に好きなので、その時代のトレンドから自分なりの解釈でデザインすることがほとんどです。
  • <patagonia>や<REI>といったアウトドアブランドのカタログも収集。「アウトドアブランドのカタログからヒントを得ることも多いです。個人的には1990年代前半の<patagonia>が一番好きですね。デザインだけでなく、斬新な発色の良さもこの時代ならではだと思います」
  • アウトドアウェアの中で最も好きなのはフリースアイテムという金子氏。「フリースは長年着ててもダメージが少ないので、いつの間にか増えてました。<patagonia>のパイル系だけで40枚くらい所有していますが、デザイン的にはグリセードカーディガンが一番好きです」
こちらのご自宅で作業されることもあるんですか?
仕事は、ここ(自宅)とオフィスの半々でやっています。僕の場合、ひとつの場所でものを考え続けると煮詰まってきちゃうんです(笑)。なので、両方で作業をするんですが、アイデア出しなどは自宅が多いですね。プライベートで集めた資料や写真集、そしてサーフィンのDVDやヴィンテージのウェアなども自宅にストックしているので、調べものをする時も便利です。あと海に近いっていうのも理由のひとつかもしれません(笑)。
  • ヴィンテージのデニムウェアも金子氏の重要なワードローブ。<CAL O LINE>のウェアにサンプリングすることも。「ワーク系のアイテムが特に好きです。ここに並んだ<PAYDAY>や<BIG MAC>といったストア系ブランドは、ディテールも面白いので勉強になります」
  • 多数所有するサーフビデオからは、サーフィンだけでなく、色々な情報を得たという。「最も影響を受けたのは1994年にリリースされた『FOCUS』という作品。サーフィンだけでなく、プライベードのシーンも観ることができ、テープが擦り切れるくらいに観ました。万が一のためにDVDも購入済みです(笑)」
  • <OCEAN PACIFIC>から<BANANA REPUBRIC>までブランド問わずにコレクションしたプリントTシャツ。「サーフブランドとアウトドアブランドのTシャツがほとんどです。時代時代のクラシックなグラフィックに惹かれます。今でもよく着ています」
  • アメリカで購入したものも多いインディアンジュエリー。「最初は<Goro's>から入って、その後、ネイティブのジュエリーに興味をもつようになりました。基本的に日本で買うことはあまりなく、アメリカへ行った際に買うことがほとんどです。つけ方は、その日その日の気分で変えています」
最後に今後の展望を教えてください。
まずサーフィンに関しては、歳をとってもこのままのペースで続けていきたいです。身体が許す限りはショートを乗り続け、体力の衰えがきたら、ロングなど色々な板に乗ってみたいと思ってます。サーフィンをやめるということは、まずないかな。そして<CAL O LINE>についてですが、正直に話すとあまり先のことは考えてないんですよね。お店をやりたいとか海外の人にももっと知ってもらいたいとかカッコイイことも言いたいんですけど、今は目の前のことしか考えていません。先のことなんて誰にもわからないし、いつ何が起こるかわからない。まずは目の前のことをひとつひとつこなしていきたいですね。これはサーフィンにも例えられるんですが、波の形は同じじゃないし、常に変化します。そして、いつどんな波がくるかもわかりません。その時々の状況を柔軟に対応できるよう、自分のスタンスでそれぞれの状況、つまりは "波" を楽しみたいと思います。
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    FLEECE CARDIGAN & PANTS カーキボディに映えるパープルのパイピングが'90sアウトドアを彷彿させる<Pilgrim Surf+Supply>別注のフリースセットアップ。トップスはノーカラー仕様のためインナー、アウターを問わずに使用可能なユーティリティデザイン。トップス ¥14,000(+tax), パンツ ¥9,800(+tax)/CAL O LINE × Pilgrim Surf+Supply

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    BEADS SWEAT SHIRT あらゆるコーディネートに対応するベーシックなデザインが印象的な<Pilgrim Surf+Supply>別注のスウェットシャツ。裾に施された取り外し可能のビーズアクセサリーがシンプルなデザインの中で存在感を引き立てます。 スウェットシャツ(左) ¥11,000(+tax), (右) ¥13,500(+tax)/CAL O LINE × Pilgrim Surf+Supply

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    CADET JACKET アメリカ軍が採用していたカデットコートを<CAL O LINE>ならではのアレンジでコーチジャケット型にアップデイトしたオリジナルデザイン。左胸に施されたパッチは取り外しができるため、自分だけのカスタムが楽しむことがで可能。 ブルゾン ¥32,500(+tax)/CAL O LINE
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    PENANT TOWL ペナント柄が目を引く<Pilgrim Surf+Supply>とのコラボレーションタオルは、ブランケットとしても使用可能な大型サイズがポイント。さらに柔軟性と吸水性に優れた今治タオル製のため、クオリティも申し分なし。 タオル ¥6,000(+tax)/CAL O LINE × Pilgrim Surf+Supply
Toshiharu Kaneko
Toshiharu Kaneko
(CAL O LINE Designer)

1973年生まれ、千葉県出身。幼少期はサッカーひと筋で、高校は名門・市立船橋高校へ進学。大学入学後間もなくサーフィンと出会い、以来時間を見つけては海へクルマを走らせる日々。大学卒業後、アパレル会社へ就職。いくつかのアパレルブランドに携わった後、2015年より<CAL O LINE>をスタート。

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