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THE EVOLUTIONARY
FEATURES #01
DATE : Aug 01, 2016
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FEATURES #01 Aug 01, 2016

THE EVOLUTIONARY

- 進化し続けるエリス・エリクソン -
バイロンで育ち、現在はバリに拠点を置きながらも、未開拓の"神聖な場所"を求め、常に壮大な探検に出ているELLIS ERICSON(エリス・エリクソン)。彼はある意味"真のピルグリム"と呼べるだろう。このインタビュー時も、彼はローカルのサーフマガジンを片手に、キャンピングバンでニュージランドの波を探索している最中だった。路上で寝食をし、行き当たりばったりで波を求める、そして道すがらのローカルブルワリーでビールを飲む。まるで映画『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくる放浪者の群れが織りなすシーンさながらのキャンプだ。彼に言わせれば"ニュージーランドは島国なんだから、どっちかがオンショアなら必然と反対側はオフショアってことだよね"とのことだった。日本でもいい波を捕まえる彼の様子がInstagramで垣間みれる。
※このインタビューは2014年に行われたものです。
セオリーの通り、進化するためにはまず過去を熟知しなければならない。もちろん彼はそのことについて昔から気づいていた。そう"サンフラワー"というあだ名で呼ばれた24歳の頃、彼は革命期のサーフボードとそのカルチャーに魅了され、彼自身のシェイプやアイデアに大きな影響を及ぼした。彼のデザインしたサーフボードを見ると、過去を参考にするだけでなく、そこには確実な進化が見てとれる。今回のインタビューでは、彼のサーフィンやシェイピングに至るまでの背景、そしてとどまることを知らない旅への熱い想いについて話を聞いた。
まずはあなたの生い立ちについて教えてください...
母は日常的にサーフしていて、父も姉もサーフィンをするから、僕の家族はビーチにかなり慣れ親しんでいた。シドニーからバイロンベイに引っ越してきたのは僕が8歳の時。日々の生活の中に、ちょっとした変化とリラクゼーション、そして何よりいつでもサーフできる環境を求めていたんだろうね。バイロンベイはかなり自由気ままのゆるい感じの街で、ロングライドできる長い波があって、確かなサーフカルチャーがあった。その環境に僕自身大きく影響されているし、物心つく前からビーチにいたので、どっちに転んでもサーフィンはしていただろうね(笑)。

10歳から16歳の頃、大半はハイパフォーマンスのショートボードがメインで、大会に出ては世界を飛び回り、これぞっていう感じでアグレッシブなライディングをしていたよ。だけど、ある段階であまり新鮮味を感じなくなってしまい、なんか全体的に意欲がなくなっちゃったんだ。サーフィンにテンションが上がることも少なくなって、ただ競ってその為に技を磨いてっていうこと以外の、他の何かを求めるようになった。ちょうどその頃、友達がハマっていた、いろんなタイプのボードに乗ってみたり、もっと昔のシェイプを試したり、サーフィンというスポーツの違う面に惹かれて始めて、そっち側のカルチャーにもどんどん引きずり込まれていったんだ。

自分自身の人生を振り返って、どれだけしびれるサーフィンがそこにあったかってことに気が付いて、'70年代から'80年代、そして今もなおシェイパーを続けている父親とバイロンベイに戻った。それがきっかけで父とはまた距離が縮まって、彼のツールを受け継いだんだ。彼はすご腕の職人で、そのまま弟子入りして、僕は心機一転サーフ人生の新たな道を歩み始めた。それからすぐに夢中になり、何かを作る喜びとサーフィンへの愛が再燃した。それ以来、僕は自身のシェイプを進化させるため、型を極めるため、そして最高の波に乗るために前へ向かって突き進んでるよ。
どのような経緯で今シェイプしているデザインに至ったのでしょうか?
そもそもは古き良き時代を感じたくて、昔のシェイプに興味をもったんだ。リサイクルショップとかごみ置き場にあるような昔のボードに乗ったとき、僕のライディングには現代のスラスターよりもそれがあっていると感じた。もっと自由に自分を表現できるというか、よりナチュラルだった。若い頃、乗っていた薄っぺらなショートボードじゃ自分が思い描いているようなサーフィンが一生できないって思ったんだ。'70年代の半ばから後半のシェイプ、そして'80年代前半のツインフィンは、まさにそれを確実に叶えてくれる。もちろんその頃のサーフシーンや実験的なボードデザイン、そして自由な発想や考えもかなり魅力的だったよ。ただただ僕はあの時代のサーフィンが本当に好きで、魅了されていったんだ。
ミニガンやガンの進化、そしてその頃ディック・ブルーワーやそのほか数人のシェイパー達が手がけていたクラシックな'70年代のティアドロップ型に夢中になった。オーストラリアのシェイプで影響を受けたのは、テリー・フィッツジェラルドが'70年代前半に作成した軽めのMRツインフィンかな。シェイプを始めた頃はシドニーにいたんだけど、そこにはボブ・マクタビッシュやミジェット・ファレリーのボードに代表されるショートボードの進化や沢山の歴史があったんだ。
あなた自身が『レトロ』という言葉で形容されることをどう思いますか?その言葉が使われ過ぎて、色々とその言葉で片付けられているように感じます...。
人々は僕達がやっているようなことを"Retrospective Trip(=懐古的な旅)"なんて呼ぶけど、そう言われることで、ブランドがラベルを付けて宣伝して、露出して、そしてモノを売るってことがしやすくなる。そうすることで大抵の人がブランドを理解して、買うか買わないかすぐに決められるだろうし。すごくハマる人もいれば、そうでもない人がいるっていうこともわかっている。正直なところ、僕自身はあまりその影響を気にしていないんだ。でもシェイピングに関していえば、どちらかというと僕のやっていることはアプロプリエーション・アート(=流用芸術)に近いかな。もちろんそれは一つのインスピレーションや型をただ単にコピーするってことではなくて、僕は作品の中にしっかりと過去が生きていてほしいと思っているんだ。サーフィンの時もそうだけど、僕にとってクリエーションはサーフィンをする時と同じように潜在意識レベルで行っていて、過去や未来のことを実際考えながらシェイプしたり波に乗っているわけじゃない。知識とテクニックを駆使して、ただ感じたままに身を任せながらその時に作りたいものを作っているんだ。
実際に今はどんな人や物にインスパイヤーされてるのでしょうか?
サーフィンの歴史を物語るあらゆるものやボードが身近にある環境だったから、新しいことに挑戦する実験屋やショートボードの先駆者、それから'70年代を象徴するショートボードとオーストラリアのサーフシーンには、もちろんインスパイヤーされたし、沢山アイデアのヒントをもらっているよ。今はニール・パーチェス・ジュニアと仕事することが一番の刺激かな。彼のボードが僕はほんと好きなんだ。あとアンドリュー・キッドマンとも幸運なことに一緒に仕事ができて、彼がシェイプしているところを見るのもすごく好きだな。この二人にはかなり影響されているよ。
よく旅に出てると思いますが、何がきっかけでそんなに旅行に行くようになったのですか?
ここ10年、これまで以上にすごい勢いでサーフィン人口が増えていると肌で感じている。パーキングのメーターを気にしたり、人だらけの激混状況に妨害されずに仲間とパーフェクトな波に乗ったり、誰にも邪魔されないポイントや駆り立てるような波を探すことがどんどん難しくなっているんだ。そんなことから離れて、ただ純粋にサーフィンの本質を感じて、自分の道具を試す。数年前からオーストラリアはなんだか物価の高い街になっちゃって、質のいい波も見つけられないし、お金をかけてもそれに見合うような生活の質も手に入らない。それもあって荷物をまとめてバリに引っ越して、ただひたすらいい波を探してサーフして、ボードを試すことに僕の人生を捧げようと思ったんだ。人だらけのコンクリートジャングルの中や、まぁまぁの波じゃ絶対に得られない、見つけられる限りの最高の波だから得られるんだ。意識的にそうしようと自分で決めて、そんなこんなで気づくと飛行機のチケットを取ってるんだよ...(笑)。

<RVCA(ルーカ)>と働いたこの数年、僕は数多くの素晴らしいアーティストたちと知り合うことができた。ケルシー・ブルックスはそのうちの一人で、僕らはとても仲が良いんだ。彼は最初科学者だったんだけどその道ではやりがいを見出せなくて、あっさりとその道を捨てて、旅にでて、ペイントするようになった。そして彼は今や一人のアーティストだからね。それまでの人生と、そこからどうやって出口を見つけたか、そして現在の彼に至るまでの経緯はかなり凄いと僕は思う。もう一人、幸運にも巡り合えて一緒にサーフィンしているのは、バリー・マッギーだ。彼は仲間の紹介で出会って、ボードのロゴデザインを手伝ってくれたんだよ。彼の生き方、というか彼のサーフィンに対してののめり込み方はもうほんとお手上げだよ。僕よりはるかに多くの時間を水の中で過ごしているからね。
あなたの今後の展望や目指しているものを教えてください。
これまで自身で作った色々なシェイプをミックスしようと思っているんだ。いくつかのモデルはそのまま残すけど、ほぼほぼ今年中にモデルチェンジするつもりだよ。もちろん美学は持ち続けるけど、もっと細部にこだわってよりスペシャルにするんだ。前からひっそりといくつかのアウトラインとフィンのセットアップに取り組んでいたんだけど、近いうちにそれもリリースする予定。今はまだ試験中の段階だからあと数ヶ月かけて、新たな数型が完成するんだ!かなりエキサイトしているよ。
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